ロイ

Roy Koopa  ピンクの甲羅とスキンヘッドのコクッパ(『SMW』ゲーム画面では青い顔と甲羅)。口元には2本の牙。赤い縁で黒いレンズのサングラスをかけています。
 『NSMBW』では、甲羅の色が紫に変わっています。
 声優は、『NSMBW』ではDan Falcone、アメリカで放送されていたアニメではGordon Mastenです。

 『SMB3』では空の国、『SMW』では迷いの森、『ハンティング』では浮遊城Iコース、『M&L』ではクッパ城・ロイの部屋のボスでした。
 『SMB3』ではジャンプをするたびに地震を起こし、振動に触れたマリオ達を動けなくしつつ光線で攻撃。『SMW』ではモートン同様、天井によじ登ってボディプレスを仕掛けてきますが、次第に壁が迫る仕掛け付き。着地時に地響きが起こるのもモートンと同じです。『ハンティング』では気球に乗り込んで攻撃してきました。『M&L』では、マリオとルイージが同時ブロックを叩いて部屋の奥まで辿り着くと登場しますが、近付くと逃げてしまいます。マリオ達がワープに乗って出た先の部屋を進もうとすると、ロイが飛び降りてきて地響きで2人を転ばせて高笑い。そして戦闘開始。ロイはプチブレスや甲羅攻撃の他、モートンのように衝撃波も使います。なお、ロイ以降のコクッパ戦は、爆弾が爆発するまでの8ターン以内に攻略しないといけません。『NSMBW』では、砦ではラリーのと似た部屋が戦いの舞台ですが、魔法弾に加えて地震も起こしてくるのが特徴です。城では、天井の大きな土管のどれかから床に落下し、着地時にはやはり地震を起こします。魔法弾での攻撃も砦の時と共通です。ロイの攻撃手段は杖から発射される魔法弾です。ロイが魔法弾を打つ動作は、杖を後ろに構えてすばやく前に振り下ろすというもので、発射が早いです。
 また、これらは日本では発売されていないのですが、『Mario is Missing!』のSNES版では城の3階、PC版では2階の、『Hotel Mario』では2軒目のホテル「Roy's Hard Brick Hotel(ロイのハードブリック=ホテル)」のボスだそうです。『ホテル』では天井によじ登って攻撃してきたそうです。プレイ動画を見たことがありますが、動きがキモいです。レンガ造りの彼のホテル「Hard Brick Hotel」とは、プレスリーの曲「Heart Break Hotel(悲しみのホテル)」のもじりだそうですが、ロイのタフなイメージと合わせてか、「as hard as a brick(レンガのように硬い、非常に頑丈な)」という慣用句とも引っ掛けてあるようです。ロイが登場する面は「Roy's Rowdy Rooftop(ロイの騒々しい屋根)」と呼ばれます。なお、このホテルではトースタールームで大量のトーストを焼いているため電力不足に陥り、照明がついたり消えたりしています。って、なんでトーストばっかり大量に…トースタールームって何だよ……。

 Royという名前はゲール語(アイルランドやスコットランドなどで使われる言葉)のruadh(赤い)が英語化されたものですが、人気のある名前となって、フランス語のroy(王)が語源とも考えられるようになりました。このコクッパがそう名付けられた理由は、Koopaprinceさんの説によれば、1960年代の歌手ロイ=オービソンRoy Orbisonから取ったんだろうということです(Google画像検索)。映画『プリティ・ウーマン』の主題歌として使われたあの曲の人、といえば解りやすいでしょうか。彼は太い縁のサングラスをかけていることで有名でした。

 アニメでは、ロイはブリー(Bully)という名でした。「いじめっ子」「ガキ大将」といった意味です。あのサングラスが悪そうな印象を与えるんでしょうか? ロイがサングラスをかけているのはシャイだから、という説明も時折見受けられますが、面白いことにこれは日本だけのようです。国民性の違いはこんなところにも現れるものなのかも知れません。もっとも、悪い子だからサングラスをかけているんだという解釈は日本にもあります。っていうか、『NSMBW』公式サイトがそうか。ブリーはゲーム版のロイとは違って首にも鋲付きの輪を着けています。
 『The Adventures of Super Mario Bros. 3 Writers Bible』によれば、「As long as you're smaller than he is, Bully will push you around. His favorite sport is stealing lunches from second-graders in wheelchairs. Bully is the most dangerous of the kids. The oldest, he would try to take over his dad's position as king, if his dad would stop being such a big bully and let him do it. Bully has a gang, but nobody will join it. He thinks he's totally cool, and loves fifties greaser music in Nintendo style. 」「あなたが彼よりも小さい限り、ブリーはあなたをいじめるでしょう。彼のお気に入りの気晴らしは車椅子に乗った2年生から昼食を盗むことです。ブリーはコクッパたちのうちでもっとも危険です。もっとも年上の彼は、もし彼の父さんがそんな大変ないじめっ子であることをやめて彼がそうであるようにさせてやるなら、彼は父さんの王としての地位を継ごうとするでしょう。ブリーには遊び仲間がいますが、しかし誰もその中に加わるつもりはありません。彼は自分はまったくクールだと思っていて、そして任天堂スタイルの50年代のロカビリー=ミュージックが大好きです」ということだそうで……アニメでは彼が長男なんですね。
 ところで、サングラスの下の目はどんなのなんでしょう。アニメ版は小さくてきつい感じの目ですが、日本のマンガではパッチリした可愛らしい目というネタがあります。この差も面白いですね。

 『SMB3』の取説、アイテム紹介ページでの台詞は「どれもこれもマリオが欲しがりそうなものやおまへんか。アクションゲームの中で手に入れたアイテムはマップ画面では使えへんからよー注意しなはれや」。アメリカ版では「Wow! Mario sure has some neat new tricks... I hope we can stop him!」「わぁ、マリオは凄い新技を持ってるんだな……オレ達あいつを止められればいいんだけど!」。敢えて関西弁(京都弁?)には訳しませんでした。いやだって英文からは関西弁のニュアンスを感じないし……って、じゃあ関西弁的英語ってどんなのかと訊かれれば返答に詰まる訳ですが。というか、内容が全然違ってます。日本版はマリオ達にアドバイスしています。余裕の表れでしょうか。一方、アメリカ版では自分達の心配をしてるという……大変な違いです。それにしても、兄弟のうち1人だけ関西弁なのはなぜ? 関西弁自体は、任天堂が関西の会社ということとなんらかの関係があるのかも知れませんが。しかしそういえば、商業誌のマンガ等で関西弁を使っているロイは見たことがありません。ファンによる二次創作では時々見ますけどね。
 『NINTENDO POWER』に掲載された『SMB3』攻略記事の台詞は「When I hit my deck, my entire Airship shakes! Little twerps like you, Mario, won't even be able to move!」でした。「オレがデッキを一撃すれば、飛行船全体が揺れるんだ。マリオ、お前みたいなちっぽけな軟弱者は動けなくなるぜ!」。地震を起こしてプレイヤーの動きを止めることを表わしていますね。
 『SMW』のロイの城クリア後の英語版メッセージは「Mario found his way through the Forest of Illusion and has put an end to Roy Koopa of castle #5. Onward to the dangerous (but tasty) Chocolate Island!」「マリオは迷いの森の抜け道を見つけ、そして5番目のお城のロイ=クッパに止めを刺しました。危険な(しかしおいしい)チョコレー島に前進!」で、ここからは特に彼の性格等について伺えることはありません。
 『NSMBW』日本版公式サイトでのキャラクター紹介ページでの説明は「ワルを気取ったサングラスが特徴。重量級の体をいかして、パワーで圧倒します」。やっぱりあのサングラスは悪そうですよね。
 MS-DOSの『ミッシング』でのロイの台詞は、以下に示すようなものです。「Give up, Luigi. We already have cartons of hairdryers and Arctic Express is knocking at the door with another load.」「諦めろ、ルイージ。俺たちはもうヘアドライヤーを何カートンも持っているし北極急行は別の道へ進もうとしているんだ」「I knew the Koopa Critter defense would be too much for you. Try another door -- you can't stop us!」「カメ族の防御はお前にはやり過ぎなのは解ってるんだ。他のドアを試してみろ――お前には俺たちは止められないぞ!」「Go ahead, lock 'em all. We don't care, we're up to our tails in hairdryers. Soon this place will be a hairdryer-heated hot-house!」「さあ行け、鍵を全部掛けろ。俺たちはかまわない、もう尻尾までヘアドライヤーの中だ。すぐにここはヘアドライヤーの熱で温室になるぞ!」「Oooh, i'm scared! NOT! Only fire can destroy me!」「おお、怖っ! なんてな! ファイアだけが俺を倒せるんだ!」「The hairdryers are still humming, pal. You might fry me, but Bowser will still be plugging away!」「ヘアドライヤーはまだブンブン鳴ってるぞ、おい。お前は俺をやっつけるかもしれないが、大魔王は今も作戦を着実に進めているだろう!」。ルイージがファイアフラワーを取ったときのコクッパたちの台詞、さっきまでの威勢はどこに行ったんだよとツッコみたくなるようなのが多い中、ロイのは「やるならやれ!」って感じですね。あ、イギーのもそうか。

 アニメ版の名前紹介の際にも触れましたが、アニメ版・ゲーム版共に、ロイには乱暴者で意地悪なイメージがあるようです。サングラスがワルっぽいし、実際のゲーム中でも強いからでしょう。マンガなどでマリオを捕まえるような役が振られることがあるのもそのせいかと思います。また、左図(出典:『Adventures of Super Mario Bros.』Mark McCellan他/VALIANT/1991)はアメリカで発行されたマンガですが、父の日のプレゼントについてコクッパ達が話し合っています。で、ロイはウサギの入った檻に手をかけて言います、「DAD WOULD WANT A POINTLESS ACT OF VIOLENCE IN HIS NAME」「オヤジは親父の名の下での無意味な暴力行為を望んでるだろう」……無意味な暴力行為…傍らには棍棒やら鎖やらトゲ付き鉄球やらの詰まったおもちゃ箱……何をする気じゃーっ!?
 ……とにかく、ロイには強いという印象がありますね。最も強いコクッパはロイだと考えている人も多そうです。コクッパの中で最強と目されることが多いのはロイだけでなくルドウィッグもですが、ルドウィッグの強さがもっぱら魔法や多彩な技に由来すると考えられているのに対し、ロイの場合は重厚な体躯や体力・腕力といった要素がイメージされているようです。また、強いとか肉体派といった印象からの派生か、スポーツに秀でているという説も見受けられます。ロイは重量級ですが、きっと筋肉の上に脂肪が乗ってる感じなんでしょう。格闘家みたいな。特に海外では、「more brawn than brains(脳味噌より筋肉)」とされてます。あんまり頭は良くないっぽい。
 先にアメリカでの例を引きましたが、一方日本では、冷静だとか恥ずかしがりだとかいうイメージを持たれてもいるようです。特に恥ずかしがりというのは日本でのみ見られるらしいとは前述した通りです。そしてまた、これは商業誌に掲載された作品から来ているというより、ファンの想像によるイメージだと思います。商業誌ではワルっぽい扱いが結構あるかも。日本のロイといえば、海外とは違って脳筋キャラであることはあまりないようですね。兄弟の中ではツッコミ担当のポジションにいることが多い気がします。アホ扱いはそんなにされてないと思います。
 ところで、日本版『SMB3』取扱説明書でのロイの台詞は関西弁でしたが、アメリカアニメ版のロイことブリーのしゃべり方はニューヨークのブルックリン風だと言われています。

 ……ああ、そうそう。ウサギは無事でしたのでご安心下さい。

 海外のコクッパファンの間で回っていた『「あなたはどのコクッパ?」バトン』での、ロイに関する質問は以下のとおりです。
  ・いじめっ子だ
  ・サングラスをかけるのが好きだ
  ・自分はクールだと思う
  ・空の国を占領したい
  ・ピンクは男らしい色だと思う
  ・ボディビルダーだ
 ……あなたはいくつ当てはまりましたか?

<イギー コクッパとは? レミー>

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