ラリー

Larry Koopa  緑の顔と甲羅、青いモヒカンに青い瞳のコクッパ。口元には4本の牙。レミー同様、彼もイギーに似ているとよく言われます。というか、「コクッパ」といえば彼らのようなモヒカンの子亀をイメージする人が多いかも。具体的に誰というんじゃなくても……。
 『NSMBW』では牙が1対減って2本になり、代わりに?目の横に青い星模様が入りました。また、甲羅の色が緑から水色に変わってます。
 声優は、『NSMBW』ではLani Minella、アメリカで放送されていたアニメではJames Rankinです。

 『SMB3』では草原の国、『SMW』では魔王クッパの谷、『ハンティング』では海岸コース、『M&L』ではクッパ城・ラリーの部屋、『NSMBW』ではワールド1の砦と城のボスでした。
『SMB3』では魔法の杖から光線を発射して、『SMW』ではシーソーのような浮島(バブル3個付)の上で火の玉を転がして攻撃。『ハンティング』では周りにひれのようなものの付いた丸いメカに乗り込んで攻撃してきました。『M&L』ではワールド同様最後のコクッパです。ボム兵とテニスをしているところに樽に入ったルイージが割り込んで、炎の玉を跳ね返すと戦闘開始……なんですが、テニスやってる時のラリーが実に楽しそうで。そして、ルイージにラケットを壊されるとすごい形相で、それこそ目を吊り上げるわ歯をむき出すわで怒りまくるんですが、なんかどう見てもテニスの邪魔されて怒ってるとしか思えません。ゲラクッパのために戦うとかじゃないような。『M&L』では、クッパがゲラゲモーナに体を乗っ取られたように、コクッパ達も操られているのかと私は想像してるんですが、操られながらも元の性格も残っているのかとも思ったり。回転しながらの体当たりと小さな火の玉を吐くプチブレスで攻撃しますが、マリオ達がハンマーで跳ね返した火の玉をテニスラケットを用いて打ち返したりもします。爆弾が爆発するまでの8ターン以内に攻略しないといけません。ところでこの『M&L』での戦闘前にプンスカ怒るのは『NSMBW』にも引き継がれているようですね。『NSMBW』での戦い方は『SMB3』の時と似ていて、ジャンプしつつ近づき杖から魔法を発射するというものですが、砦に続いて再び対戦する城では、カメックの魔法により5つに分かれた床がそれぞれ上下するようになり難度が上がります。ラリーが魔法弾を打つ動作はしばらく杖をグルグルと回してから前に振り下ろすというもので、発動までにやや時間がかかります。
 また、これらは日本では発売されていないのですが、『Mario is Missing!』のPC版では城の1階のボス、『Hotel Mario』では3軒目のホテル「Larry's Chillton Hotel(ラリーのチルトンホテル)」のボスでした。『ミッシング』のPC版についてはよく判りませんが、『ホテル』ではボムをボーリングの球のように転がして攻撃してきたそうです。「Chillton Hotel(チルトンホテル)」とは「Hilton Hotel(ヒルトンホテル)」をもじったのもので、「chill(冷たい;寒い)」という語から明らかなように氷をテーマにしたステージで、部屋のドアが冷蔵庫のものになっていたりします。「え、氷っていったらレミーのイメージなんだけど……」という人は私も含めてかなりいるとは思いますが、このゲームではラリーが氷のステージ担当です。ステージ開始前のデモ映像によれば、このホテルは洞窟の奥の地中にあり、洞穴の入り口には「Larry's Cave Hotel(ラリーの洞窟ホテル)」「This mine is mine(この鉱山はオレのもの)」と書いてあります。ラリーが登場する面は「Larry's Scary Lair(ラリーの恐ろしい隠れ家)」と呼ばれます。LarryとScaryとLairとで韻を踏んでますね。
 ところで、これはラリー本人が登場したという訳ではないのですが、英語版『スーパーペーパーマリオ』ではフランシス(カメレゴンは英語版ではこう呼ばれる)の欲しいゲームリストの中に『ラリー=クッパ:ゾンビ=ハートブレーカー』なるタイトルがあるそうなんですが、これ日本語版ではどうなってますか? いえ、私は『スーパーペーパーマリオ』は未プレイなもので判らないんです。どんなゲームなのか、リアルに存在するならぜひプレイしてみたいですね。やっぱり主役はラリーなんでしょうか。それとももしやラスボス? ……解ってます、タイトルだけの存在だってことくらい。いいじゃないですか、つかの間の夢くらい。

 「コクッパとは」でも書きましたが、ラリーはコクッパの末っ子です。『パーフェクト版マリオキャラクター大事典』(超音速/小学館/1994)『スーパーマリオ大図鑑』(村田雅英他/講談社/1994)などに記述があります。アメリカ任天堂の『SMA4』紹介ページ(現存はしないのですが見た記憶が)や攻略本(Prima's Official Strategy Guide)にも「最も若いコクッパ」と書かれていました。恐らく、『SMB3』での登場順からのイメージと思われます。それに、『SMB3』では最初のコクッパだけあってあまり強くなかったし、『SMW』でもラリー自体は最初に登場したイギーと同等だったし(バブルが増えているので大変ですが)、どうも「強くない→未熟→若い→末っ子」という連想もあるのかも。もっとも、これまたアメリカ任天堂のサイトによれば、『SMA2(SMW)』ではラリーはクッパの右腕ということになっています(Larry is Bowser's right-hand Koopa.)。また、Primaの『SMA4』攻略本のオープニングデモ解説で、「Bowser's favorite : Larry Koopa」という表現もありました。クッパのお気に入りだからオープニングに1人だけ登場しているという解釈でしょうか。
 『M&L』では、体力はさほどではないものの、高い攻撃力を持っているので、弱いイメージは払拭されたでしょうか……って、『NSMBW』ではまた最初に対戦する最弱のコクッパになってしまいました。まぁ、その代わりといっちゃ何ですが、エンディングではちょっと目立ってました。『SMA4』といい、弱いとされる代わりにそういうところでは優遇されているとも考えられます。

 さて、『にじのまんなか』名物・名前考察ですよ。Koopaprinceさんの説によれば、ラリーという名前になったのは、アメリカのトークショーのパーソナリティ・ラリー=キングLarry Kingにちなんだんじゃないかということです(Google画像検索)。しかし別の説では、イギリスのバンドU2のドラマー・ラリー=マレン(あるいはラリー=ミューレン)Larry Mullenが元ネタとされていて(Google画像検索)、この問題に関してははっきりした答えは出ていないようです。Larryという名前になった決め手が何なのかがなかなか見えてこないんですよね。候補として上げられた人物にはいずれもこのコクッパに似ているとはっきり言える特徴がないし。他のコクッパについては、「これはもう鉄板だろ」というのから「ひょっとしてこういうこと?」というのまで程度はさまざまですが、とりあえず何かしらの理由は想像できるんですが、ラリーに関してはイギー・レミーと共に「モヒカントリオは『-**y』で揃えることにした」ぐらいしか思いつきませんでした……。
 ともかく、Larryという名はLawrenceの愛称形、語源はラテン語のラウレンティウスLaurentiusで、「ラウレントゥムの人」という意味です。地名ラウレントゥムの意味は「月桂樹(laurel)の町」ですが、それは「栄光の勝利者の町」という意味でもありました。3世紀の聖人聖ラウレンティウスに由来する名です。施しの聖者として知られる彼は、教会の財産を差し出すよう要求された際、貧しい人々を示して「これが教会の財産です」と言って処刑されました。本山先生のマンガにもありましたが、「火に関する聖人」だというのは、聖ラウレンティウスが焼き網で焙られて殉教したことに由来します。そのことからか、料理人の守護聖人でもあるそうです(喰うために焼かれた訳じゃないでしょうが……)。しかし、クリスチャンな魔王って。そりゃキリスト教の魔王とは別物だろうけど。
 そういえば、『魔界帝国』で弁護士に扮したクッパが偽名として用いていた名もラリーでしたね。ラリー=ラザードでしたっけ?
 余談ですが、全部小文字で「larry」としてしまうと「ガラクタ」という意味になってしまうのでご注意。
 『M&L』でテニス攻撃をしてくるのは名前のラリーとテニスのラリー、Larryとrallyをかけた洒落なんでしょうか。まぁ父親のクッパがテニスゲームに出演してるぐらいですから、子供達のうち1人ぐらい影響を受けるのがいてもおかしくないですね。という訳で、スポーツゲームにも出してやってくださいよ。また、ラリーとラリーといえば、マンガやなぞなぞなどで、ラリーはカースポーツのラリーを好むと設定されたこともあります。

 ところで、アメリカで放送されていたマリオアニメ『The Adventures of Super Mario Bros. 3』及び『Super Mario World』では、コクッパ達はどういう訳か(ライセンス問題?)ゲームとは異なる名前で呼ばれていました。
 ラリーはチーツィ=クッパ(Cheatsy Koopa)という名になっていましたが、これはきっとcheat(詐欺師・不正行為・カンニングなどを意味する語)から作られた名でしょう。「イカサマ野郎」、とでもなるでしょうか?
 『The Adventures of Super Mario Bros. 3 』のDVDボックスのボーナスディスク収録の『The Adventures of Super Mario Bros. 3 Writers Bible』によれば、チーツィは「He loves to tie people up and then challenge them to a foot race. In reform school, he copied so many test papers, he got writer's claw. His hobby is counterfeiting Gold Coins, and he does such a great job of it, that Koopa has put him in charge of the Kastle Koopa treasury, where he happily spends every day cheating his brother and sister Koopalings on their allowances. When Koopa wants to be sneaky and devious, he calls on Cheatsy.」「彼は人々を縛り上げてから彼らに競走を挑むのが大好きです。少年院では、彼は多くの試験用紙をコピーし、記者を攻撃しました。彼の趣味は金貨を偽造することで、彼がそのような大仕事をするため、クッパは彼にクッパ城の宝物庫の運営を任せ、そこで彼は彼の兄弟や妹コクッパの小遣いをごまかして毎日楽しく過ごしました。クッパが卑劣でよこしまであることを望む時、彼はチーツィを訪ねます」ということです。

 ラリーの『SMB3』の取説での台詞は「マヌケな国王から巻き上げた杖は全部で7本。オレ達兄弟が1本ずつ持ってるって訳さ。オヤジに怒鳴られるのはイヤだから、そう簡単に渡す訳にはいかないぜ」。アメリカ版では「We took 7 wands from the 7 kings. Each of us has one. Our father has instructed us to protect the wands.」。「オレ達は7人の国王から7本の杖を取り上げたんだ。オレ達それぞれが1本ずつ持ってるって訳さ。オヤジはオレ達に杖を守るように言いつけたんだ」。ストーリー紹介のページに書かれています。
 『NINTENDO POWER』に掲載された『SMB3』攻略記事の台詞は「Yo, Mario-you made it dis far! Well, I'm gonna make sure you don't get past me, got dat?」でした。「ようマリオ、こんな所まで来たなんてな! でも、オレを追い越させやしないぜ。解ったか?」。disとかdatとかは、thisやthatの崩れた形だと思います。DA PUMPのDAみたいなものかと。どうもあまり綺麗な発音ではないようです。
 『ミッシング』MS-DOS版ゲーム中の台詞は「Hi Luigi. We figured you'd be coming by. Pity you're never going to see your brother again. I don't even know which door leads to Mario.」「ようルイージ。来ると思ってたよ。残念だけどあんたの兄貴にはもう2度と会えないぜ。どのドアの先にマリオがいるかはオレだって知らないんだからな」「Nice try, plunger puss, but only fire can hurt me.」「いい努力だね、無謀な賭博師さんよ。だけどオレを傷つけられるのはファイアだけさ」「No plumbers behind that door? Go ahead, try another. The wrong door has many handles, plumber dude.」「配管工はいなかったかい? さあ、他のを試しなよ。間違ったドアにはたくさん取っ手があるんだぜ、配管工野郎」「So, you're the great Luigi? You didn't even return all the artifacts in that city! You'll never find Mario!」「そう、あんたがあの偉大なルイージ? あの街の全ての遺物を返しさえしないあんたが! あんたは絶対マリオを見つけられないぜ!」「Uh, Luigi, old pal, buddy. You know, I've been on your side all along. Really. Don't burn yourself with that fire flower, pal. 」「うっ、ルイージ、昔っからの友達だろ、仲間だろ。なぁ、オレは初めからあんたの味方だったよな。本当だよ。そのファイアフラワーであんた自身を焼いちまわないでくれよ、なぁおい」……最後のはルイージがファイアフラワーを取って形勢逆転した時の台詞でしょうか? ところで、MS-DOS版のプレイ動画を見たことがありますが、ラリーの声がおっさん臭くて可愛くなかったです。他のコクッパについては未見ですが、たぶんそちらもあまり期待できそうにありません。
 アメリカ任天堂の『SMW』(『SMA2』)紹介ページでのラリーの説明は「Larry is Bowser's right-hand Koopa. He's been trusted to guard the castle in the Valley of Bowser, so if you decide to visit this dangerous part of Dinosaur Island you'd better be ready for a fight. Knock Larry into the lava to esccape his castle.」「ラリーはクッパの右腕のカメです。彼は魔王クッパの谷の城の護衛として信頼されており、そのためもしあなたがこの恐竜ランドの危険な部分を訪れることを決めたなら、戦いに備えておいた方がいいでしょう。城を脱出するためにラリーを溶岩の中にぶち込んでください」とあり、ここではラリーはクッパの腹心とされています。また、『SMW』のラリーの城クリア後の英語版メッセージは「Mario has defeated Larry Koopa in castle #7. All that is left is Bowser's Castle where Princess Toadstool is being held. Can Mario rescue her and restore peace to Dinosaur Land?」「マリオは7番目のお城のラリー=クッパを打ち負かしました。残るはピーチ姫が囚われている魔王クッパの城のみです。マリオは彼女を助け出し恐竜ランドに平和を取り戻すことができるのでしょうか?」なんですが、ここにはラリーについての情報はあまりありませんね。なお、『SMW』英語版お城クリアメッセージは他の何人かのコクッパに関しては重要な情報源たり得るので一応全員分紹介しますが、日本語版は残念なことに全てのコクッパについての情報をほとんど含まないので一切省略します。名前すらちゃんと呼んでくれないんだもんなぁ……。
 『NSMBW』日本版公式サイトでのキャラクター紹介ページでの説明は「最初のワールドで待ち受ける、手下の一番手。魔法の杖での攻撃に注意」と書かれているのみで、性格等が伺える記述はありません。なお、アメリカ版のキャラクター紹介ページではコクッパもクッパJr.も名前しか出てきません。ヨーロッパ版は説明しようとするとラヨシュがブチ切れるので、興味のある向きは各自でお確かめください(イギリス・ドイツ・フランス・スペイン等各国版がありますが、共通のテンプレで言語のみ変えてあります)。

 『大事典』『大図鑑』では、ラリーは末っ子ということから「甘えん坊」と性格付けられています。しかしそういう設定で描かれた商業誌のマンガなどはあまりないようにも記憶しています。『全キャラクター大百科』には「(『SMW』では)『3』で失った杖の代わりに、体をはって挑んでくるぞ。そーゆーところだけ、正々堂々としているんだね」とありました。もっとも、詳しくはイギーの項で後述しますが、この本はラリーとイギーを取り違えたりしてるんでちょっと資料的に心配なんですが。コクッパのことクッパの部下と書いてたし。……ええまあその、ね。いちいち言いませんけど。
 本山先生の『SMW』では、ラリーはルイージに悪の言いなりになってしまうどぐされキノコを食べさせてマリオと戦わせたり、乙姫に化けてマリオ達を騙そうとしたりという卑劣漢ぶりを発揮していました。
 Primaの『SMA4』攻略本では、「nerdy Larry」なんていう記述がありました。バカなラリー、ダサいラリー、オタクっぽいラリー、ウンザリするようなラリー、……?
 アメリカで発行されていたコミック『Nintendo Comics System』では、ラリーのセリフは理由は定かではありませんが英語ではありませんでした。っていうか、音声なのかどうかもよく判らない……文字ではなく絵で表記されていたので。そして、レミーだけがそれを理解できるという設定でした。例えばここに引用した、父の日のプレゼントについて相談するコクッパたちの会話では、ルドウィッグがおもちゃのピアノを弾きつつ「文化的なものであるべきだと思うぞ。父上は洗練されたものを切望なさっているんだ」と言うのを受けて発せられた「音符に向かって舌を出している絵」で表わされるラリーのセリフを、レミーが「ラリーはそのアイデアは保留しとくんだって、ルドウィッグ」と通訳しています。アニメではイギーの双子になっていたレミーですが、このコミックではラリーと関係が深かったようですね。しかしこのマンガ、クッパはアニメ版の全身緑のアレなんですよ。コクッパたちはゲーム寄りの容姿なのに、なぜ……?
 アメリカのコクッパファンサイトによると、ラリーはベジタリアンで、趣味はガーデニングやスパイ活動だそうです。ベジタリアンとかガーデニングとかは草原の国のイメージでしょうが、スパイってのは……? やっぱりアニメ設定でしょうか、カンニングだし。しかしこういったファンサイトで見られるネタは、どれがオフィシャルないしそれに準ずるものから来ていて、どれがファンの創作なのかがなかなか見分け難いです。単に私の英語力不足だと言われればそれまでなんですけどね。とまれ、解る範囲で言うと、『M&L』や『NSMBW』での描写から、短気で怒りっぽいということは確かなようです。それから、『M&L』でテニスをしていたので(さらに『ホテル』ではボーリングのような攻撃方法だったこともあり)スポーツが好きだとも言われます(その割にはスタミナが足りない、とも)。また、アニメ版の設定を取り入れ、お金が好きだとかよくズルをするとされることもあります。

 そういえば、海外のコクッパファンの間で回っていた『「あなたはどのコクッパ?」バトン』があるんですが、これも海外におけるコクッパイメージを知る際の参考になると思うので、ここでも紹介いたします。以前私もブログにて回答しましたが、その後なんか設問が1個ずつ増えてたので、そちらのバージョンを掲載します。
  ・これまでに何か物を盗んだことがある
  ・お金が好きだ
  ・チャンスがあれば銀行強盗をしたい
  ・草原の国を占領したい
  ・ゲームでよくインチキをする
  ・スポーツが好きだ
 ……あなたはいくつ当てはまりましたか?

<ルドウィッグ コクッパとは? モートン>

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