魔界帝国の女神

 いや、その……別にこの映画のことを失念してた訳じゃないんですよ。あまりの突っ込みどころの多さに二の足を踏んでいたってだけで。しかし、やはりルイージ×デイジーサイトとしてコクッパ7人衆ファンサイトとしてまたネタサイトとして、この映画を話題にしない訳にはいきませんよね。なんだかんだいって大好きだし。

 有体に言って、この映画は失敗だったと思います。実際、駄目っぷりを評した文章は何度も目にしました。
けれども、「いかに駄目だったか」はともかく「なぜ駄目になったか」についてはあまり突っ込まれてないような気がするので、当サイトでの紹介はその辺を意識しつつ進行します。


マリオ映画化の経緯
映画版マリオのプロフィール
ゲーム⇔映画キャラ対応表(ネタバレあり)
主観入りまくり内容紹介(ネタバレあり)工事中
何がまずかったのか?(ネタバレあり)工事中
サウンドトラックCD工事中
キャスト・スタッフ



 M マリオ映画化の経緯

 『メイキング・オブ・スーパーマリオ魔界帝国の女神』のChapter1は「『スーパーマリオ』の映画制作は、1980年、京都で始まった。そういってもあながち間違いではない。この年、マリオが誕生した――そしてマリオがいなければ、映画も生まれなかったわけだから」という書き出しで始まっています。 その後の映画化が具体的な話になっていくいきさつですが、話は映画の公開よりほぼ3年前、ローランド・ジョフィが『シティ・オブ・ジョイ』撮影のためパリに滞在していた頃に遡ります。撮影についてきた息子が始終スーパーマリオのゲームで遊んでいたことから、ジョフィはマリオの映画化を思いつきました。そんな折、自分の映画制作会社ライトモーティブからの連絡で、マリオブラザーズの映画化権が売りに出されたことを知ったジョフィは、ジェイク・エバーツに共同制作を持ちかけました。こうして、映画化実現に向けた動きが本格化していったのです。
映画化件の売り出しに関して、任天堂は公式発表の類は行ないませんでした。任天堂ぐらいの企業になると、それとなく情報を流すだけで用は足りるからです。噂がたちまちハリウッド中に広まる中、ジェイク・エバーツとローランド・ジョフィは、アライド・フィルムメーカーズとライトモーティブを代表して、シアトルの任天堂アメリカ本社をじきじきに訪問し、自分たちの映画化構想を説明しました。
ジェイク・エバーツはこの強引ともいえる売込みの様子を次のように語りました。
「我々はキャラクターの魅力をフルに生かせる物語にするつもりだと説明した。あのゲームを好む人たちはみな、マリオ兄弟のファンだ。だから、あくまでも兄弟の関係を中心にストーリーを展開させるべきなんだ。この点をくどいほど強調した。キャラクターは映画の命だ。キャラに魅力がなければ、物語も作りようがない」
結局、アライド・フィルムメーカーズとライトモーティブがあまたの手強いライバルを押しのけて映画化権を獲得しました。権利を獲得した2人はただちに具体的なプロット作りに取り掛かりました。

 エバーツとジョフィが監督に起用したのはロッキー・モートンとアナベル・ヤンケル夫妻でした。決め手は、彼らのプレゼンテーションがとてもユニークだったことです。
夫妻がストーリー作りに着手してまず頭に浮かんだのは、「クッパって何者なんだ」という疑問でした。テレビゲームのクッパはドラゴン(ということにされていたらしい)という答えが、物語作りの突破口になったといいます。「人類の記憶の中にかすかに残っていた恐竜のイメージが、ドラゴンの形をとって現われたのだとする学説もある」(ヤンケル談)ということから、「いろいろ調べていくうちに、地球に衝突した隕石が恐竜絶滅の原因であると断定する学説を見つけたんだ」(モートン談)。
この説を下敷きにしたアイディアが次々と浮かび、ついにメインプロットが出来上がりました。『魔界帝国』はブルックリンの平凡な配管工がいかにしてスーパーヒーローとなるかという、テレビゲームの前史とも言える物語となったのでした。
モートンとヤンケルのメインプロットから脚本の完成まで2年半を要しました。最終稿を仕上げたのはパーカー・ベネット、テリー・ランテ、エド・ソロモンの3人です。「撮影が始まってからもシナリオを書き続けていたよ」(ベネット談)「楽しみながらストーリーをこしらえていった。だけど思いついたアイディアの半分も使えなかった――うまく活かせなくてね(ランテ談)アイディアが使えなかった云々というのは、フィルムの長さと資金的な制約によるものでした(エバーツによれば、結局制作費は当初の額を大幅に超過したそうですが)。

 シナリオの完成が間近に迫ると、キャスティングが開始されました。
モートン曰く、マリオ役はボブ・ホスキンスだと最初から決めていたそうです。2人のプロデューサーも即座に同意しました。一方、ルイージ役のジョン・レグイザモは、彼の一人舞台を見たエバーツによってマリオの弟に抜擢されました。
いわば映画の美術面の総監督であるプロダクション・デザイナーに採用されたのは、『ブレード・ランナー』で知られるデビッド・スナイダーでした。彼によってコスチュームやクリーチャーといった各分野の適任者が探され、撮影セットが作られました。魔界都市ダイノハッタン(マンハッタンのもじり)は、アメリカのノースキャロライナ州ウィルミントンのセメントの廃工場(1962年の建造当時には世界最大規模を誇っていた)の中に作られました。この工場のつくりや雰囲気は、スナイダーのセットデザインに少なからぬ影響を及ぼしました。
撮影のほとんどはセットの中で行なわれるため、天候等の問題はありませんでしたが、それでも撮影から完成までには10ヶ月の期間を要しました。映画化権獲得から言えば3年掛かっています。ともあれ、映画『スーパーマリオ 魔界帝国の女神(英語タイトル:Super Mario Bros.)』は、1993年5月にアメリカで、日本では同年7月に劇場公開されたのでした。




 M 映画版マリオのプロフィール

本名
マリオ・マリオ
家族
弟ルイージひとり/父親と母親はルイージを生んだ後、亡くなっている
生まれ
ニューヨーク・ブルックリン(3代前からの生粋のブルックリン子)
育ち
イタリア系移民。マリオのお爺さんがイタリアから自由の女神を目指してニューヨークに渡ってきて以来、代々配管工として生計をたてている家庭で育ち、子供の頃から父親の仕事を手伝っているので、その腕は超一流。どんな工事をもすぐに処理してしまう。両親なき後、ルイージと2人で配管業を営んでいる。
住所
ニューヨーク・ブルックリンにあるレンガ色のアパート
生年月日
1958年7月2日
血液型
A型
職業
配管工(3代前から配管工)
恋人
同じイタリア系のダニエラ
趣味
ジョギング、水泳、ジャンプ、料理
ポリシー
石橋をたたいて渡れ!
性格
ルイージが夢を追って突進するタイプなのに比べ、慎重派。子供の頃から親の仕事を手伝ったり、両親がなくなった後にはルイージの父親がわりとなったり(ルイージ曰く、母親がわり)と、経験豊富なしっかりもの。目立つのは苦手だが縁の下の力持ちとして、いざという時ルイージに助け舟を出す。気は優しくて力持ちの典型的な長男タイプ。尚かつ、料理も大好きという母親的な面も持つ。

目立つのが苦手なマリオ!
映画ではルイージが目立ち気味なことの説明でしょうか(笑)。
ところで、誕生日は7月2日ってラヨシュと一緒ですね。ルイージの生年月日も知りたいけれど、こちらは資料なし。何歳違いの兄弟なのかだけでも判ればいいのに……。




 M ゲーム⇔映画キャラ対応表(ネタバレあり)
キャラ名
ゲームでは
映画では
マリオ
配管工だったり大工だったり、その他いろいろやってる人。
アニメとか歌ではブルックリン在住ってことになっていることもあるけど、ゲーム内ではキノコ王国の住人ということでいいんでしょうか。
詳しいことは前の表に書きましたが、とにかく普通の地球人のようです。
ルイージ
マリオの双子の弟。口髭あり。
少なくともこの映画が公開された頃は、影が薄いというのは公式設定にまではなってませんでした。その頃から出番はますます減っていったんですが、それは本稿で扱う範囲を超えるのでまたの機会に。
マリオの年の離れた弟。口髭なし。
職業は配管工見習い。
怪奇現象オタクという設定が付いてます。ゲーマーでもあるらしい。
クッパ
カメ帝国の大魔王。トゲトゲの巨大なカメ。7人の子供がいる。子供たちの母親については不明。
キノコ王国のピーチ姫をさらうのは、彼女がクッパの魔法を解く力を持っているから……だったはずだけれど、だんだんその辺はうやむやになっていきました(本人たちも忘れてるかも)。
進化した恐竜の世界・ダイノハッタンの大統領。ティラノサウルスから進化した人間(見た目は哺乳類の人間とほとんど変わらない。眉毛がなかったりたまに舌が伸びたりするけれど)。子供がいるような描写はなし。レナという愛人がいる。
デイジーをさらうのは、彼女が人間世界と恐竜世界を分けた隕石の力をコントロールできるから。
デイジー
サラサランドの王女。間違っても「ピーチのアメリカでの呼び名」なんて言わないように。宇宙怪人タタンガにさらわれるが、マリオに助けられました。
その後長らく出番がありませんでしたが、『マリオテニス64』にてルイージのパートナーとなるために(←ここ重要。詳しくはこちら)再登場。……映画当時は特に動きはなかったんですけどね(溜息)。
考古学を専攻する学生だが、実は恐竜世界の王女。自分の生まれを知らないまま、人間世界で育っていました。
分裂した次元を融合させられる隕石のかけらを持つこと、隕石の力をコントロールできる王族の生き残りであることから、クッパに狙われます。
ラリー
コクッパ7人衆の1人。
クッパが弁護士に変装した際の偽名。
イギー
コクッパ7人衆の1人。
クッパの部下。従弟でもあります。
コクッパのイギーは頭脳派のイメージが強いですが、こちらはアホです。
バツイチらしい。
スパイク
『SMB3』の敵キャラ・ガボンの英語名。シューリンガンというトゲ付き鉄球を投げてきます。
クッパの部下。従弟でもあります。
何故コクッパでもない一介の敵キャラのスパイクがイギーの相棒として選ばれたのかは判りません。とりあえず言えるのは、こいつもアホだということです。
トード
キノピオの英語名。
ダイノハッタンで反クッパソングを歌っていて逮捕されたストリートミュージシャン。
逆進化装置でグンバに変えられますが、デイジーの味方になります。
グンバ
クリボーの英語名。
クッパに忠実なトカゲ兵。実は遺伝子操作で退化させられた恐竜人間。
イメージイラストを見ると、KOOPA'S TROOPAS(=ノコノコの英語名)の文字が書き込まれてました。名前が変わったのは語感のため?
ヨッシー
マリオとは彼が赤ちゃんの頃からの縁がある恐竜。
舌を長く伸ばしてものを食べたり、卵を産んだりします。
恐竜世界の王家に飼われていたティラノサウルスの赤ちゃん。
舌は伸びますが卵は産みませんでした。
こちらの世界においては「リアルすぎてキモい」というもっぱらの評判です。という訳で余談ですが、最近ではティラノサウルスの赤ちゃんにはひよこのような羽毛が生えていたと考えられています。今ヨッシーを作ったら、緑と白の羽毛でもこもこした爬虫類が出来上がるんでしょう。
バウザー王
クッパ大魔王の英語名「King Bowser Koopa」の一部。
海外では「Koopa」は種族名で大魔王自身の名前は「Bowser」ということになっています。
恐竜世界の王で、デイジーの父。
クーデターを起こしたクッパにより逆進化装置にかけられ、菌類にされてしまいました。それでも心は残っていて、マリオたちを何度も助けます。
ビッグ・バーサ
『SMB3』の敵キャラ・巨大プクプク(口から子プクプクを吐き出す方)の英語名。
なお、Berthaは英語の女性名ですが、「Big Bertha」には「高性能大砲」という意味があります。
クラブ「ブンブン・バー」の用心棒。
なぜかマリオに恋してしまったため、彼の手助けをしてくれます。
スニフィット
ムーチョの英語名。
ゴミ処理場の作業員。「snifit」には「清掃員」という意味があるそうです。
ボム兵
歩く時限爆弾。マリオたちの敵。
歩く時限爆弾。バウザー王(菌糸)がマリオたちに武器として使うよう渡してくれます。足の裏にリーボックのロゴ入り。
ブンブン
『SMB3』の砦のボス。
キャラではありませんが、クラブ「ブンブン・バー」の店名に使われています。
ハンマーブロス
ハンマーを投げてくるカメ。
キャラではありませんが、ダイノハッタンの何かの店名に使われています。
スワンプ
ドッスンの英語名。
キャラではありませんが、ジャンプ靴「スワンプ・ストンパー」の名前に用いられています(直訳すると「ドッスンと踏みつけるもの」。初期段階ではエア・ストンパーという名前だった)。靴の底にはドッスンの絵が描かれています。
キラー
大砲の弾。
キャラではありませんが、ジャンプ靴「スワンプ・ストンパー」専用バッテリーはキラーの形をしています。
また、キラーの英語名Bullet Billはダイノハッタンの何かの店名にも用いられています。
バードー
『USA』の敵キャラ。日本ではダウチョの英語名として紹介されてましたが、実際はキャサリンのことらしいです。ダウチョの英語名はOstro(ostrich…オーストリッチ=ダチョウのもじりでしょう)だと、海外のサイトにはあります。日本に逆輸入する際、取り違えが起こったようです。
キャラではありませんが、ダイノハッタンの街を走るタクシーにバードー・タクシーというのがありました。ここで気になるのは、車体に描かれた絵はキャサリンじゃなくてダウチョだということ。日本に合わせたのか、アメリカでもダウチョとキャサリンの入れ替わりがあったのか……?
トゥイータ
『USA』の敵キャラ・リートンの英語名。
キャラではありませんが、食材として使われています。フライドチキンよろしくフライドトゥイータとして屋台で売られています。
ウィグラー
ハナチャンの英語名。
キャラではありませんが、食材として使われています。フライドトゥイータと同様に屋台で売られています。タクシーの屋根の上に看板が付いていたりもします(ハナチャンの絵はないけれど)。
とりあえずこれだけ見つけました。小ネタの類は100以上はあるそうなので、全て網羅するのは相当骨ですが……。



 M 主観入りまくり内容紹介(ネタバレあり)

工事中  何しろこの映画は「全編これ突っ込みどころ」です。『ももたろう』と同じノリでやってたらかなり長くなってしまいました。という訳でこちらからどうぞ。




 M 何がまずかったのか?(ネタバレあり)

工事中




 M サウンドトラックCD

工事中




 M キャスト・スタッフ

 キャスト
マリオ/ボブ・ホスキンス
ルイージ/ジョン・レグイザモ
クッパ/デニス・ホッパー
デイジー/サマンサ・マティス
イギー/フィッシャー・スティーブンス
スパイク/リチャード・エドソン
レナ/フィオナ・ショー

 スタッフ
製作/ジェイク・エバーツ
   ローランド・ジョフィ
監督/ロッキー・モートン&アナベル・ヤンケル
脚本/エド・ソロモン
   パーカー・ベネット
   テリー・ランテ
撮影/ディーン・セムラー
美術/デビッド・スナイダー
編集/マーク・ゴールドブラット
SFX /クリス・ウッズ
オリジナルデザイン/宮本茂・手塚卓志(任天堂)
音楽/アラン・シルベストリ
衣装/ジョセフ・ポロ
製作/ライトモーティブ
   アライド・フィルムメーカーズ




 <参考文献>
『映画原作 スーパーマリオ』トッド・ストラッサー著:石田亨訳/小学館/1993
『メイキング・オブ・スーパーマリオ魔界帝国の女神』エレイン・スコット著:石田亨訳/小学館/1993
『スーパーマリオ魔界帝国の女神』スタジオ・ジャンプ編/東宝/1993
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